📋 免責事項
本記事の位置づけ
- 本記事は薬剤師の学習・研修を目的とした教育コンテンツです
- 医学的助言、診断、治療の代替となるものではありません
- 実際の患者指導は、必ず医師の処方内容と指示に基づいて行ってください
情報の取り扱いについて
- 記事内容は作成時点(2025年11月)の情報に基づいています
- 医薬品の添付文書、最新のガイドライン、各施設のプロトコルを必ず確認してください
- 個々の患者の状態、併用薬、基礎疾患により、適切な対応は異なります
薬剤師の職務範囲
- 副作用のモニタリングと報告は、薬剤師法第25条の2に基づく服薬指導の一環です
- 重篤な副作用が疑われる場合は、速やかに処方医へ情報提供してください
- 薬剤の中止・変更判断は医師の専権事項であり、薬剤師が独断で行うことはできません
- 本記事で紹介する副作用チェックは、医師との連携を前提とした薬学的管理の参考情報です
みなさん、こんにちは!ウーチーです。今回の「ウーチーの薬剤師冒険記」では、日々の臨床で降圧薬を扱う際、どの副作用に注目してチェックすべきかについてお話しします。添付文書には多くの副作用が列挙されていますが、本当に気をつけるべきものを見極めるためのコツを共有したいと思います。
副作用と添付文書の現状
降圧薬を始めとする医薬品の添付文書には、臨床試験や治験で発生したすべての副作用が記載されています。しかし、実際には頻度が低くほとんど見られないものまで含まれており、現場での副作用チェックにおいてノイズとなることも少なくありません。
「どんぐり未来塾」の考え方を取り入れる
ここで役立つのが、どんぐり未来塾の『薬物動態マスター術 第2版』で提唱されている理論です(参考文献:どんぐり未来塾『薬物動態マスター術 第2版』)。この書籍では、薬理作用に基づいて副作用が起こりやすいかどうかを見極める考え方が紹介されています。薬理作用に関連した副作用は薬の作用機序上発生しやすいとされ、降圧薬であれば、血圧が下がりすぎることによる低血圧が起こる可能性が高いという考え方です。
降圧薬の薬理作用と副作用の関係
ここからは、各降圧薬の薬理作用を踏まえ、現場で特に確認しておくべき副作用について解説します。
他にも副作用はありますが、臨床上発生頻度が高く、対処方法を知っておいたほうがよいものを記載します。
1. カルシウム拮抗薬
- 副作用:ふらつき、浮腫、頻尿
- 薬理作用と副作用の関係:
- カルシウム拮抗薬は血管を拡張することで血圧を下げますが、その影響で血管外に液が漏れ、浮腫が生じやすくなります。
- 血管拡張の影響で血流が変化するため、ふらつきも起こりやすくなります。
- 一部で腎血流が増加し、頻尿が起こることもあります。
2. ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
- 副作用:ふらつき,高カリウム血症
- 薬理作用と副作用の関係:
- 血圧を下げる作用が強く、急に立ち上がった時などにふらつきが見られることがあります。
3. ACE阻害薬
- 副作用:空咳、ふらつき、高カリウム血症
- 薬理作用と副作用の関係:
- ACE阻害薬はブラジキニンの分解を阻害するため、空咳が起こることが多く、特に患者が不快感を訴えることが多いです。
- 血圧が下がりすぎることで、ふらつきも生じることがあります。
4. β1遮断薬
- 副作用:ふらつき、息切れ、徐脈
- 薬理作用と副作用の関係:
- 心拍数を抑制するため、徐脈や息切れが生じやすくなります。また、血圧低下によりふらつきが見られることもあります。
5. サイアザイド系利尿薬
- 副作用:ふらつき、腎機能低下
- 薬理作用と副作用の関係:
- サイアザイド系利尿薬は、血圧を下げる効果のほか、電解質排出を増加させるため、ふらつきや脱水を招くことがあります。特に夏場の脱水や、ARB・ACE阻害薬との併用時には、腎血流が低下し腎機能低下をきたすリスクが高まるため注意が必要です(いわゆる「トリプルワーミー」)。
6. MR受容体拮抗薬(スピロノラクトンなど)
- 副作用:高カリウム血症、女性化乳房
- 薬理作用と副作用の関係:
- MR受容体拮抗薬はカリウムを体内に保持するため、高カリウム血症のリスクが高まります。スピロノラクトンはホルモン作用にも影響するため、女性化乳房が生じる場合があります。
7. α1受容体遮断薬
- 副作用:ふらつき、立ちくらみ
- 薬理作用と副作用の関係:
- 血圧を下げる効果があり、立ち上がり時に立ちくらみやふらつきが起こることが多いです。
実際に副作用をチェックする際のポイント
薬剤師として、降圧薬の副作用チェックでは上記のポイントを押さえた上で、患者さんに合った対応を行うことが重要です。患者さんがふらつきや立ちくらみを訴えた場合には、服用時間の調整や、降圧効果の調整を検討する必要があります。また、腎機能低下や高カリウム血症が懸念される場合は、定期的な血液検査も視野に入れるべきです。これからのブログで薬の対応は紹介していきます。
【補足】頻度は低いが見逃してはいけない重大な副作用
上記で紹介した副作用は、薬理作用に基づいて比較的頻度が高いものです。一方で、頻度は低くても生命に関わる可能性があるため、必ず知っておくべき副作用があります。
ACE阻害薬・ARBの血管浮腫
顔面、口唇、舌、咽喉頭が腫れる症状です。特に喉頭浮腫による呼吸困難は生命に関わります。頻度は低い(ACE阻害薬で0.1〜0.5%、ARBはさらに低い)ですが、顔の腫れや喉の違和感を訴えた場合は、すぐに医師に連絡する必要があります。投与開始後1週間以内に約60%が発現しますが、長期服用後に発現する例もあります。
どんぐり未来塾の書籍のご紹介
最後に、今回の内容をさらに深く学ぶためにおすすめしたいのが「どんぐり未来塾」の『薬物動態マスター術 第2版』です。薬理作用に基づいた副作用の考え方を学ぶことで、実践的な薬剤管理の理解が深まります。薬剤師として副作用を適切に評価し、現場で活用できる知識を得るための参考書として一読をお勧めします(参考文献:どんぐり未来塾『薬物動態マスター術 第2版』)。
ご利用にあたって 本記事の情報を利用した結果生じた損害について、筆者は一切の責任を負いかねます。必ず専門家の判断を仰いでください。
(2025年11月7日現在)


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