腎機能評価の基本:GFRと体表面積補正の解説!
こんにちは!ウーチーです。いつもブログをご覧いただきありがとうございます!
今回は、腎機能を評価する上で重要な「GFR(推算糸球体濾過量)」について、**1.73㎡**という基準値の意味や体表面積補正の考え方を解説します。さらに、薬剤師が患者さんに説明しやすいよう、GFR 40の具体例や、体表面積補正後のGFRとクレアチニンクリアランスの関係についても触れます。それでは、いってみましょう!
1. 腎機能評価に使われる2つの指標
腎機能を評価する際に、以下の2つの指標が特に重要です:
- クレアチニン
- GFR(推算糸球体濾過量)
1-1. クレアチニンとは?
クレアチニンは筋肉代謝による老廃物で、腎臓を通じて尿として排泄されます。この値が高い場合、腎機能が低下している可能性があります。
- 正常値:0.6~1.2 mg/dL(性別や筋肉量により異なる)
- 注意すべき値:8 mg/dL以上では腎機能の低下が顕著で、専門医による透析の必要性が検討されます。
1-2. GFR(推算糸球体濾過量)とは?
GFRは腎臓が1分間にどれだけの血液を濾過できるかを示す指標で、腎機能の残存率をイメージしやすくします:
- GFR 80:腎機能80%残存
- GFR 30:腎機能30%残存
- GFR 10:腎機能10%残存
GFRが10%未満になると透析が検討される目安となります。これは腎臓が老廃物をほぼ排泄できない状態であり、早急な対応が必要です。
2. GFR値の基準と腎機能のステージ分類
GFR値は以下のように6つのステージ(G1~G5)に分類されます:
ステージ | GFR値(mL/分/1.73㎡) | 腎機能の状態 | リスク分類 |
---|---|---|---|
G1 | ≧90 | 正常 | 低リスク |
G2 | 60~89 | 正常または軽度低下 | 低リスク |
G3a | 45~59 | 軽度~中等度低下 | 中等度リスク |
G3b | 30~44 | 中等度~高度低下 | 高リスク |
G4 | 15~29 | 高度低下 | 非常に高リスク |
G5 | <15 | 末期腎不全(透析検討) | 極めて高リスク |
3. なぜ1.73㎡が基準になるのか?
医療機関で提供されるGFR値(例:50 mL/分/1.73㎡)は、すべて体表面積1.73㎡を基準に計算されています。この**1.73㎡**は、以下の身長・体重の組み合わせから導き出されています:
- 身長:170cm
- 体重:63kg
標準的な体格を基準にしたこの値が、医療データで広く採用されている理由です。ただし、患者の体格が基準と異なる場合、個別の体表面積を考慮して補正する必要があります。
4. 体表面積補正(BSA補正)の考え方
患者個別の体表面積(BSA)を考慮することで、正確なGFR(未補正GFR)を算出できます。以下の計算式を使用します:
eGFR(mL/分)=eGFR(mL/分/1.73㎡)× 患者の体表面積 ÷ 1.73
計算例
- 例1:体表面積1.65㎡の患者
eGFR(mL/分/1.73㎡):50
補正後eGFR=50×1.65÷1.73=約47.7 mL/分 - 例2:体表面積2.00㎡の患者
eGFR(mL/分/1.73㎡):50
補正後eGFR=50×2.00÷1.73=約57.8 mL/分
このように、患者の体格に基づく補正を行うことで、腎機能をより正確に評価することができます。
デュボア式を使った体表面積の計算
デュボア式を使えば体表面積を計算できますが、現在では以下のリンク先にある体表面積計算表が活用されることが一般的です
➡️ 体表面積計算ツール(CASIO公式サイト)https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228735
5. 補正後のGFRとクレアチニンクリアランスの関係
補正後のGFRは、クレアチニンクリアランスと同等の指標として考えることができます。どちらも腎臓が老廃物を排泄する能力を示しており、薬物投与量の設定や腎機能低下の評価に重要な役割を果たします。
6. 患者さんへの説明のポイント
患者さんにGFRや補正の重要性を伝える際には、以下のように説明すると分かりやすいでしょう。
例:GFRが40の場合
「現在のGFRは40で、中等度の腎機能低下に該当します。この状態では、腎臓にさらなる負担をかけないよう、塩分の制限や血圧管理が必要です。また、早めに腎臓専門医を受診して、今後の治療方針について相談することをおすすめします。」
補正が必要な理由を伝える場合
「GFRは標準的な体格(1.73㎡)を基準に計算されていますが、患者さんの体格に合わせて補正を行うと、より正確な腎機能が分かります。この補正値は、薬の適切な投与量を決定する際にも役立ちます。」
7. まとめ:GFRと補正を活用した正確な腎機能評価を
GFRは、腎機能を評価するために欠かせない指標です。標準的な体表面積1.73㎡を基準にした補正値を用いることで腎機能を把握できますが、患者さん個別の体格を考慮することで、さらに精度の高い評価が可能になります。
補正後のGFRはクレアチニンクリアランスと同等の意味を持ち、薬物投与量や治療方針の決定に欠かせない情報となります。特にGFRが40以下の場合、専門医への早期相談をおすすめし、腎機能のさらなる悪化を防ぐようサポートしていきましょう。
次回は腎機能を守るための生活改善ポイントについてお伝えします。ぜひお楽しみに!
参考書籍
今回の記事を書くにあたり、以下の書籍を参考にしました。腎機能評価の理解を深めたい方にぜひおすすめです!
・『ここが知りたかった腎機能チェック 薬剤師が処方せんと検査値から腎機能を評価するコツ』
編集:三宅健文
出版社:南江堂
腎機能評価の基本から応用まで、薬剤師が押さえておくべきポイントをわかりやすく解説した1冊です。
・『腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK』
編集:日本腎臓病薬物療法学会
出版社:じほう
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