ウーチーの薬剤師冒険記 第22弾:尿タンパク検査で腎臓を守る! ~薬局でできるケアと受診のすすめ~

腎機能

ウーチーの挨拶

こんにちは!薬局薬剤師のウーチーです。
腎臓が「沈黙の臓器」と呼ばれていることをご存じですか?腎臓病は初期には症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまう怖い病気です。そして、その早期発見に役立つのが「尿タンパク検査」。
今回は、腎臓を守るために尿タンパク検査がなぜ必要なのか、また薬局でどのようなケアができるのかについてお伝えします!


尿タンパクって何?

腎臓は、血液をろ過して老廃物を尿として排出する臓器です。健康な腎臓では、血液中のタンパク質が尿に漏れることはほとんどありません。しかし、腎臓にダメージがあると尿中にタンパク質が漏れ出します。この状態が「尿タンパク」です。

尿タンパクが高いとどうなる?

尿タンパクが多い状態が続くと、腎臓の機能がどんどん低下し、最終的には腎不全や透析が必要になるリスクが高まります。特に糖尿病や高血圧を抱える方では、腎臓病の進行が速い傾向があります。


尿タンパク検査の種類と重要性

尿タンパク検査には大きく2つの種類があります。

  1. 定性検査
    • 健康診断などで行われる簡易検査です。
    • 試験紙を使い、「+」「-」で結果を確認します。ただし、正確な量はわかりません。
  2. 定量検査
    • 尿タンパク/クレアチニン比(UPCR):尿中のタンパク質量をクレアチニンで補正して数値化します。腎疾患の進行リスクを評価する際に広く使われています。
    • 尿アルブミン/クレアチニン比(ACR):微量アルブミン尿を検出する方法で、糖尿病や高血圧による腎障害の早期発見に特に有効です。

UPCRとACRの違い

UPCRは腎疾患全般を評価する際に使用され、小規模なクリニックでも導入が容易です。一方、ACRは検出感度が高く、腎疾患の早期発見に優れていますが、専用機器が必要であるため導入にはコストがかかります。


UPCRの基準値とリスク評価

尿タンパク/クレアチニン比(UPCR)は、腎疾患の進行リスクを評価する指標です。

  • 正常値:0.15 g/gCr 未満
  • 軽度増加:0.15 ~ 0.5 g/gCr
  • 高度増加:0.5 g/gCr 以上

高度増加の場合、腎疾患のリスクが高いため早急に専門医の診察が必要です。


薬局でできること

薬局は、患者さんにとって最も身近な医療機関です。腎疾患の早期発見を促すために以下のような取り組みが可能です。

1. eGFR(推算糸球体濾過量)の定期確認

eGFRは腎臓の健康状態を示す重要な指標です。

  • 数値を定期的に確認し、急激に低下した場合には注意を促します。
  • 例えば、「前回は60だったが、今回は45に下がっている」といった場合、「一度、尿タンパク/クレアチニン比を測定してもらいましょう」と受診を勧めることができます。

2. 尿タンパク検査の受診勧奨

健康診断の結果を患者さんに持参してもらい、尿タンパクが検出された場合には追加の定量検査を勧めます。「尿タンパクが高いと腎臓が削れるスピードが速くなる」とわかりやすく伝え、必要に応じて専門医の診察につなげます。


千葉県や他地域の取り組み

腎疾患の早期発見と重症化予防に関する地域の取り組みを紹介します。

千葉県

千葉県では尿タンパク定量検査(UPCR)を推奨し、慢性腎臓病(CKD)の早期発見を進めています。この取り組みにより、腎疾患の重症化を防ぎ、医療費削減を目指しています。

長崎県佐世保市

長崎県佐世保市でも、腎疾患の早期発見を目的に、尿タンパク検査の普及を進めています。

東京都八王子市

東京都八王子市では、地域ぐるみで腎疾患予防の取り組みを進め、住民の健康管理に役立てています。


参考書籍のご紹介

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まとめ:小さな検査が未来を守る

腎臓病は早期発見と適切なケアで進行を防ぐことができます。尿タンパク検査(UPCRまたはACR)は、そのカギを握る重要な検査です。薬局では、eGFRの確認や受診勧奨、生活習慣の改善提案を通じて、患者さんの健康を支える役割を担っています。

腎臓を守るために、次回の受診や健康診断では、ぜひ尿タンパク検査を意識してみてください。それがあなたの健康を守る第一歩です!

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