こんにちは、ウーチーです!
今回は、薬剤師が現場で腎機能を適切に把握し、薬剤の調整に活かす方法について解説します。第21弾では、クレアチニン値やGFR(推算糸球体濾過量)について触れましたが、今回は実践的にどう活用するかを掘り下げます。
腎機能を把握するための基本情報
薬剤師が腎機能を評価する際、主に次の2つの情報を活用します。
①病院の検査値(クレアチニン・GFR)を活用
病院の検査結果には、GFR(1.73㎡補正済み)が記載されている場合と、クレアチニン値のみが提供される場合があります。
クレアチニン値しかない場合、GFRを推算する必要がありますが、手計算は大変なので、GFR計算ツールを活用すると便利です。
日本腎臓病薬物療法学会 eGFR計算ツール・腎機能低下時の薬剤投与指針
➡ https://www.jsnp.org/egfr/
また、腎臓学会の「腎機能低下時に注意すべき薬剤リスト」を活用すると、リスクのある薬を事前にチェックできます。
腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧(第37版)
https://www.jsnp.org/files/dosage_recommendations_37.pdf
②体表面積補正(BSA補正)の考え方
GFRは通常、体表面積1.73㎡で補正された値として提供されます。この1.73㎡とは、身長170cm・体重63kgの標準的な体格に基づいた値です。
しかし、実際の患者さんは体格が異なるため、体表面積補正が必要になることがあります。
体格による補正のイメージ
身長・体重 | 補正なしのGFR | 補正後のGFR |
---|---|---|
150cm・45kg(小柄な人) | 高めに出る | 実際はもう少し低い可能性あり |
170cm・63kg(標準) | そのまま | 変わらない |
180cm・90kg(大柄な人) | 低めに出る | 実際はもう少し高い可能性あり |
実際の現場では、GFRを1.73㎡基準で計算したまま使うことも多いため、患者さんの体格に応じた補正が必要かどうかを判断することが重要です。
腎機能を考慮した薬剤量の調整方法
腎機能を把握したら、次に薬の用量調整を行います。
①腎機能低下時に注意が必要な薬剤リストを活用
腎臓学会の「腎機能低下時に注意すべき薬剤リスト」を活用し、腎機能低下時にリスクの高い薬を事前にチェックし、薬局ごとに下記のようなリストを作成していきます。

②添付文書の用量調整基準を確認
添付文書では、「クレアチニンクリアランス(Ccr)」を基準に用量調整が記載されています。
しかし、**Ccr=GFR(mL/min)**であり、病院で提供されるGFR(mL/min/1.73㎡)とは異なるため、そのまま使うと誤差が生じることがあります。
添付文書の用量調整のポイント
指標 | 内容 |
---|---|
GFR(mL/min/1.73㎡) | 多くの病院で提供される補正済みの値 |
GFR(mL/min)=Ccr(クレアチニンクリアランス) | 体表面積補正なしの値 |
実際の処方時のポイント | 患者の体格に応じて補正を考慮する |
例えば、身長150cm・体重45kgの患者さんのGFR(mL/min/1.73㎡)が50だった場合、実際のCcr(mL/min)は40前後になる可能性があります。
この場合、添付文書のCcr基準をそのまま適用すると、薬剤が過剰投与されるリスクがあります。
逆に、身長180cm・体重90kgの患者さんでは、補正なしのCcr(mL/min)はGFR(mL/min/1.73㎡)より高くなるため、用量を適正に調整する必要があります。調整を考慮しながら用量決定することが大切です。
Amazon Kindle Unlimited & プライム会員
電子書籍を活用した学習は、薬剤師にとって効率的な方法の一つです。特に、Amazonの**Kindle Unlimited(KDP読み放題)**を活用すれば、薬剤師向けの専門書を気軽にチェックできます。
また、Amazonプライム会員になれば、書籍の購入や動画視聴、配送特典などのメリットもあります。
まとめ
腎機能を正しく把握し、適切な薬剤調整を行うことで、患者さんの安全を守ることができます。
- クレアチニン値しかない場合は、GFR計算ツールを活用
- 1.73㎡は170cm・63kgを基準としているため、患者の体格に応じた補正を考慮する
- 腎臓学会の薬剤リストを活用し、リスクのある薬を事前にチェック
- 添付文書のCcrを参照する際は、体格による影響を考慮する
このようなポイントを押さえておくと、スムーズに対応できます。次回も、実践的な内容をお届けしますので、お楽しみに!
コメント