こんにちは、ウーチーです!
前回のブログでは、腎機能低下時に注意が必要な薬のその1を紹介しました。今回はその続編として、さらに注意が必要な薬剤について解説します。
腎機能が低下すると、薬の排泄が遅れ、副作用のリスクが高まるため、適切な用量調整や代替薬の選択が重要になります。それでは、今回の薬剤を見ていきましょう!
1. 抗菌剤(レボフロキサシン)
レボフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌薬は、腎排泄型であり、腎機能が低下すると血中濃度が上昇し、副作用のリスクが増加します。特に、QT延長による致死的不整脈や**中枢神経系の副作用(めまい、せん妄、痙攣など)**が問題となります。
対策
✅ eGFR 50 mL/分未満の患者では、投与間隔の延長や投与量の減量が必要。
✅ 腎機能低下時には、できるだけ腎排泄の影響が少ない抗菌薬への切り替えを検討。
2. 抗不整脈薬(サンリズム、リスモダン、シベノール)
これらの抗不整脈薬は、腎機能が低下すると血中濃度が上昇し、失神、めまい、低血圧、不整脈増悪などの副作用のリスクが高まります。特に高齢者や腎機能が大きく低下した患者では、心電図異常や突然死のリスクが増えるため、慎重な管理が必要です。
対策
✅ eGFRが低下した場合、用量調整が必要。
✅ 定期的な心電図チェックと血圧管理を行い、慎重に投与を検討。
3. フィブラート系薬剤(ベザトール、リピディル)
フィブラート系薬剤は脂質異常症の治療に使用されますが、腎機能低下時には横紋筋融解症のリスクが高まります。筋肉痛、脱力感、**CK(クレアチンキナーゼ)**の上昇が見られた場合は、すぐに中止を検討すべきです。
対策
✅ クレアチニン値をもとに換算すると、eGFR 30 mL/分未満では使用が禁忌。
✅ 代替薬としてパルモディア(ペマフィブラート)が推奨される。パルモディアは肝代謝型のため、腎機能に影響を受けにくい。
4. アルミニウム含有製剤(アルサルミン)
アルミニウムを含む制酸薬は、腎機能低下時に体内に蓄積し、**中枢神経障害(認知機能低下、せん妄)や骨障害(アルミニウム骨症)**を引き起こす可能性があります。
対策
✅ eGFR 30 mL/分未満の患者では使用を避けるべき。
✅ アルミニウムの蓄積リスクを考慮し、PPIなど他の制酸薬への変更を検討。
5. DPP-4阻害薬(シタグリプチン、ビルダグリプチン)
DPP-4阻害薬の中でも、シタグリプチン(ジャヌビア)やビルダグリプチン(エクア)は腎排泄型であり、腎機能低下時には血中濃度が上昇するため、用量調整が必要です。
対策
✅ 腎機能に応じた投与量の調整を行う。
✅ 腎機能低下時には、肝代謝型のDPP-4阻害薬(テネリア、トラゼンタ)が代替薬として適している。
6. 便秘治療薬(コロネル)
コロネル(ポリカルボフィルカルシウム)は、腎機能低下時に高カルシウム血症や軟組織の石灰化リスクを高める可能性があります。特に腎機能が著しく低下した患者では、カルシウムの排泄が困難になり、血管や腎臓への石灰沈着を引き起こすことがあります。
対策
✅ eGFR 30 mL/分未満の患者では使用を避けるべき。
まとめ
今回は、腎機能が低下している患者さんに注意が必要な薬 その2として、6つの薬剤を紹介しました。
重要ポイントまとめ:
✔ 腎排泄型の薬剤(レボフロキサシン、抗不整脈薬、DPP-4阻害薬の一部など)は、eGFRに応じた用量調整が必要。
✔ フィブラート系薬剤のうち、パルモディアは腎機能低下時でも使用可能。
✔ アルサルミンやコロネルは、eGFR 30 mL/分未満の患者には使用を避けるべき。
腎機能が低下している患者さんでは、適切な薬剤選択が重要になります。腎機能を適切に評価し、リスクを最小限に抑える工夫をしましょう!
次回のブログでも、さらに実践的な情報をお届けしていきますので、ぜひチェックしてください!
それでは、また次回お会いしましょう!
参考書籍
腎機能低下時の薬物療法をさらに深く学びたい方は、以下の書籍もおすすめです。腎臓病薬物療法に関する専門書を活用し、より実践的な知識を身につけましょう。
1. 『この局面にこの一手!Dr.長澤直伝!腎臓病薬物療法の定跡』
著者:長澤 将
内容: 腎臓病患者の薬物療法において、「この状況ではどの薬をどう調整すればいいのか?」という疑問に対し、実践的な戦略を示した書籍。腎機能別の投薬調整の具体例が豊富で、薬剤師や医師が臨床の現場ですぐに活用できる情報が満載。
2. 『薬剤師力がぐんぐん伸びる 専門医がやさしく教える慢性腎臓病フォローアップの勘所』
著者:長澤 将
内容: 慢性腎臓病(CKD)のフォローアップに関する知識を、薬剤師向けに分かりやすく解説。
腎機能低下時の薬物療法のポイントだけでなく、食事指導や生活管理についても詳しく学べる一冊。
3. 『レシピプラス 腎臓が教える腎機能のみかた 2020年秋』
出版社:南山堂
内容: 腎機能の評価方法や、腎機能に応じた薬剤選択をテーマにした特集号。腎機能低下時の処方設計に必要な基本的な考え方を、具体的な症例を交えて解説。

4. 『レシピプラス 徹底サポート 腎機能低下時のくらしとくすり 2021年秋』
出版社:南山堂
内容: 腎機能低下患者における服薬指導や生活指導のポイントを詳しく解説。薬剤師が患者に適切なアドバイスを提供するための具体的な知識が得られる。
5. 『薬局で使える実践薬学』
著者:山本 雄一郎
内容: 薬局での実践的な薬学管理に関する知識を網羅した書籍。腎機能低下時の処方調整や、服薬指導の際に活用できる実践的な内容が充実。
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