ウーチーの薬剤師冒険記 第28弾:SGLT2阻害薬の腎保護効果と適正使用を徹底解説!

腎機能

こんにちは!ウーチーの薬剤師冒険記、第28弾へようこそ。
今回は、腎臓を守る薬として注目されているSGLT2阻害薬 について、最新の推奨事項を基に詳しく解説します!

SGLT2阻害薬は、もともと糖尿病の治療薬として開発されましたが、近年の研究で糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病(CKD)の患者にも腎保護効果があることが確認されました
その結果、腎機能低下を防ぐための重要な治療選択肢として、CKD治療においても積極的に推奨されるようになっています

それでは、具体的な適正使用の基準を確認していきましょう!


SGLT2阻害薬の適正使用:推奨基準

日本腎臓学会の「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」では、以下のように推奨されています。

1. 糖尿病合併CKD(糖尿病性腎症)

✔ アルブミン尿(蛋白尿)の有無や腎機能に関係なく、SGLT2阻害薬の使用が推奨される。
✔ eGFR 15 mL/分/1.73㎡未満の患者には新規導入を避ける。
✔ 継続投与中にeGFRが15未満になった場合は、副作用に注意しながら継続を検討する。


2. 糖尿病非合併CKD

✔ 蛋白尿陽性のCKD(例:IgA腎症、巣状分節性糸球体硬化症)に対し、原疾患の治療に加えてSGLT2阻害薬の使用が推奨される。
✔ eGFR 15 mL/分/1.73㎡未満の患者には新規導入を避ける。
✔ 継続投与中にeGFRが15未満になった場合は、副作用に注意しながら継続を検討する。


SGLT2阻害薬の使用時の注意点

SGLT2阻害薬を使用する際には、以下の点に注意が必要です。

1. eGFRの初期低下

  • 投与開始後、一時的にeGFRが10%程度低下する可能性があるが、これは腎保護作用の過程で起こる一時的な現象
  • 長期的には腎機能を維持・改善するため、患者の不安を軽減することが大切。

2. 体重減少

  • SGLT2阻害薬は尿中の糖排泄を促進するため、体重が3〜5kg減少することがある
  • 体重減少=病気ではなく、薬の作用によるものであることを伝え、不安を和らげる。

3. 水分補給の重要性

  • 初期には利尿作用が強いため、脱水予防として500mL〜1000mLの水分補給を推奨
  • 継続使用すると尿量の増加は落ち着くが、喉の渇きを感じたら適宜水分を取ることが重要

4. 尿路感染症のリスク

  • SGLT2阻害薬の作用により、尿中の糖が増加し、尿路感染症のリスクがわずかに上昇する
  • 水分補給や陰部の清潔保持が感染リスクを下げる可能性がある。
  • 排尿時の痛みや血尿がある場合は、早めに医師に相談するよう指導する。

5. 低血圧・脱水のリスク

  • SGLT2阻害薬の利尿作用により、血圧が低下しやすくなる。
  • 特に高齢者や利尿薬を併用している患者では、めまいやふらつきに注意が必要。
  • 必要に応じてナトリウム補給(味噌汁、梅干しなど)をアドバイスするのも有効。

薬剤師としての実践的対応

SGLT2阻害薬の服薬指導では、以下のポイントを重視しましょう。

腎機能を守る薬であることを説明する
eGFRの一時的な低下は心配不要と伝える
体重減少の可能性を事前に説明し、不安を軽減する
初期の脱水リスクに備え、水分補給の重要性を伝える
低血圧や尿路感染症のリスクを理解し、適切に指導する


まとめ

SGLT2阻害薬は、糖尿病の有無を問わず慢性腎臓病(CKD)患者の腎機能を保護する治療選択肢として確立されつつある。
そのため、日本腎臓学会の推奨に基づき、eGFR値や蛋白尿の有無に応じて適切に使用することが求められる

適切な使用と服薬指導を行うことで、腎機能を維持し、患者のQOL向上につなげることが可能である。
薬剤師として、患者が安全に服用できるようしっかりサポートし、適切な情報提供を行っていきましょう!

それでは、次回のウーチーの薬剤師冒険記でお会いしましょう!👋

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