【ウーチーの薬剤師冒険記 第38弾】血流をサラサラにする薬の使い分け!病態でここまで違う!

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こんにちは!薬局薬剤師のウーチーです!

今回から「血流編」がスタートです✨
テーマは「血液をサラサラにする薬」。

バイアスピリン、プラビックス、ワーファリン、DOAC(リクシアナやエリキュースなど)…種類が多く、「これって何が違うの?」と聞かれることも多いですよね。

でも実際に勉強しようとすると、
「白色血栓?赤色血栓?凝固因子?」…
正直、薬剤師でも難しいと感じる内容です💦

そこで今回は、
「病態の違いに着目して、薬の使い分けをシンプルに整理する」
をコンセプトにまとめました!


1. 血栓には2つのタイプがある!

まず、血栓とは「血管内でできる血のかたまり」のこと。
これが詰まることで、脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる病気を引き起こします。

実は血栓には2種類のパターンがあり、使う薬がまったく異なるのです(脳卒中ガイドライン2023年改訂版[1])。

● タイプ①:動脈で詰まる「動脈血栓」

  • 代表疾患:脳梗塞(アテローム血栓性)、心筋梗塞、末梢動脈疾患など
  • 原因:動脈硬化+血小板の活性化
  • 血栓のタイプ:白色血栓(血小板主体)
  • 対応薬:抗血小板薬(バイアスピリン、プラビックス、プレタールなど)

● タイプ②:心臓でできて飛んでくる「心原性塞栓」

  • 代表疾患:心房細動に伴う脳梗塞、人工弁関連血栓など
  • 原因:心房内の血流停滞による凝固因子の活性化
  • 血栓のタイプ:赤色血栓(フィブリン+赤血球主体)
  • 対応薬:抗凝固薬(ワーファリン、DOAC各種)

2. 抗血小板薬と抗凝固薬のちがいとは?

「血液をサラサラにする薬」と言っても、実際にはまったく異なる仕組みで働いています。

◆ 抗血小板薬(白色血栓に対応)

  • 作用:血小板の凝集を抑える
  • 代表薬:バイアスピリン(アスピリン)[2]、プラビックス(クロピドグレル)、プレタール(シロスタゾール)
  • 適応:動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞・末梢動脈疾患など

→ 血流が速く圧力の高い動脈で活性化しやすい「血小板」に働きます。

◆ 抗凝固薬(赤色血栓に対応)

  • 作用:凝固因子の働きをブロック
  • 代表薬:ワーファリン、DOAC(エドキサバン、リバーロキサバンなど)[3]
  • 適応:心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓など

→ 血流がよどみやすい部位でできやすい「フィブリンベースの血栓」を防ぎます。


3. 患者さんへのわかりやすい説明方法

患者さんからよく聞かれる質問があります。

「どっちも“サラサラにする薬”なんでしょ?」

そんなときは、次のように説明するのが効果的です💬

💡 説明のコツ

  • 「動脈が詰まるときは、血小板の働きを抑える薬(抗血小板薬)を使います」
  • 「心臓の中で血が固まりやすい人には、血を固める力(凝固因子)を抑える薬(抗凝固薬)を使います」

「詰まる場所」と「原因の仕組み」を分けて説明することで、納得してもらいやすくなります。


4. 白色血栓・赤色血栓という言葉、使っていい?

「白色血栓」「赤色血栓」は、薬剤師としての理解にはとても便利な概念です。

ただし、患者さんにそのまま使うと混乱を招く場合もあるため、薬剤師の頭の中で整理する用として活用するのがオススメです。

🔎 整理表

血栓の種類主な成分発生部位対応薬
白色血栓血小板動脈抗血小板薬
赤色血栓フィブリン+赤血球心臓・静脈抗凝固薬

(出典:Levy JHら. 日本集中治療医学会誌 2016年[6])


5. まとめ:薬の選択は「どこで血栓ができたか」で決まる!

抗血栓薬は似て見えても、効く相手がまったく違います。

  • 動脈硬化性疾患(白色血栓)には抗血小板薬
  • 心房細動や静脈血栓(赤色血栓)には抗凝固薬

この違いを理解していれば、
服薬指導の精度も上がり、医師への疑義照会の際にも根拠をもって提案できます。

📚参考文献

  1. 日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕. 一般社団法人日本脳卒中学会; 2023年6月. Available from: https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
  2. バイエル薬品株式会社. バイアスピリン®錠100mg インタビューフォーム. 2022年5月. Available from: https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/vrxlpx9646/files/2022-05/BAS_IVF_202205120.pdf
  3. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構. エドキサバン審査報告書. 2025年1月7日. Available from: https://www.pmda.go.jp/drugs/2025/P20250304001/430574000_22300AMX00547_A100_1.pdf
  4. 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル(ワルファリン等). 2021年. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000843270.pdf
  5. 日本薬剤師会. 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務指針(第2版). 2021年. Available from: https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/high_risk_guideline_2nd.pdf
  6. Levy JH, et al. 2.抗血小板薬・抗凝固薬の薬理学. 日本集中治療医学会誌. 2016. Available from: https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide07_08.pdf

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